×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
サルオは、スポーツ推薦で大学に合格し、
部活の成績を持って進学することができた。
有り難いことに、授業料も半額免除と言う高い評価を頂いた。
なので大学入学後も、部活を軸に学生生活を送ることになる。
ところで、
高校三年生の三学期っていうのは、ほとんど授業が無い。
サルオの学校なんて、一月末に定期テストが終わったら二月は丸々休みで、
三月初めに行われる卒業式前日の予行練習の日まで、登校日すら一日も無かった。
サルオの学校は工業高校なので、卒業後の進路はまちまちだ。
工業大学に進学する子も居れば、自動車整備の専門学校に行ったり、
就職し社会人になる子も多い。
新しい環境に突入するまでの一ヶ月、運転免許を取りに行ったり、卒業旅行に出かけたり、
皆それなりハメを外して緩ぅ~く過ごしたようだ。
皆それなりハメを外して緩ぅ~く過ごしたようだ。
サルオも、4月からはある意味窮屈な寮生活が待っているので、
最後の春休みくらいは、のんびり楽しく過ごせばいいんじゃん?
と、言ってやりたいところだが、そうは大学側が許しちゃくれなかった。
11月に合格通知を貰った後、再三送って来られる、
《練習を怠らないように。入寮後すぐに行われる合宿についていけるよう、決して部活を引退せず練習を継続するよに。》
という、書類。
特に、サルオの同期は男子10名も入学が決まっているので、
この先、大学の出場枠が決まっている試合に出るために、
おそらく学内選抜は免れないだろう。
スタメンに選ばれるためにも、
入寮までの間、練習の手を抜かずしっかりやらなければならない。
ところが、サルオの高校の部活は相変わらずのらりくらりしていて、
ほとんど部休に近い状況だった。
でもまあ、部活を当てに出来ないなら、自主練すればいいだけのことなんだけど、
その自主練こそサルオの1番苦手なこと。
秋から冬になっても部活は一向にシャキっとはせず、
とうとう二月に入り、学校が休みになってしまった。
案の定、サルオの朝寝坊が始まった。
私が仕事に出かける前に起きてくるなんてことは奇跡に等しい。
塾での雑用バイトも年末で一区切りついてしまい、
かと言って、他のバイトを見つけるでもなく、
三日に一回くらいは重い腰を上げ四時間ほど練習に出かけても、
それ以外の日は、ほとんどゲームとDVDに明け暮れる毎日。
来る日も来る日も練習ゼロのサルオを見ている夫と私は、ハラハライライラしっ放し。
でもね・・・自主練って難しいと思う。
特にこの寒い時期、たった一人でひたすら坂を上ったり、長距離を走ったり・・
よほど精神力が強い人間じゃないと積極的にできないだろう。
自主練が苦手なサルオも、頭ではよくよく分かっているはず。
練習しておかなきゃいけないんだってこと。
入寮までの練習が重要なんだってこと。
同期の奴等はそれぞれの高校の部活で後輩達と厳しい練習を続けているはずだってこと。
分かっちゃいるけど、自分は今日も練習しなかったってこと。
ヤバイってこと。
やっておかなきゃ、ヤバイってこと。
でも、また今日も練習しなかったってこと・・・
自業自得で逆切れのサルオ本人と、
傍らでその意志薄弱な息子を見ていて、イライラを募らせる夫。
最悪の空気間で向かえた二月初旬、
秋から溜まったそれぞれのイライラがついに爆発し、大喧嘩となってしまった。
こんな日々がこれからまだ一ヶ月も続くなんて私は耐えられなかった。
心が持たないって思った。
それでふと思いついたのが、
高校の部活が当てにならないなら、大学の練習に参加させてもらえば?ってアイディア。
それでも私が大学に頼むのは筋が通らない。
もう大学生なんだから、やっぱり本人自身が事情を話し頼んでみないとね。
そういう風に、ダメ元でサルオに提案してみると、
これが予想外にもアッサリと首を縦に振ったのだった。
「とりあえずまず電話してみる。ダメなら仕方ないもんね。」
余りにも素直に電話をしたサルオを見て、
ああ、やっぱり練習不足はしっかり自覚していたんだなって。
内心相当焦ってたんだなって思った。
大学の部活の庶務を担当してくださっているU井さんは、
早速監督さんに話を通してくださり、受け入れ準備をしてくださることになった。
早速監督さんに話を通してくださり、受け入れ準備をしてくださることになった。
そして、サルオが電話を入れてから約10日後、同期よりも一足先に入寮の運びとなったのだ。
それから三週間、
サルオは先輩達の中で新入生としてたった一人過ごすことになったのだ。
この作戦、吉と出るか凶と出るか・・・
この作戦、吉と出るか凶と出るか・・・
《つづく》
PR
この記事にコメントする