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今回の国体で全国大会の『空気』と言うものをサルは初めて味わった。
ロードレースの開放的な雰囲気に対し、
とりわけトラック競技の張り詰めた空気感は独特だったらしい。
エリミネイションも団抜きも、緊張のあまり足が全く廻すことができなかったと言う。
走り終わった後、監督さんや同県の先輩にはもちろん、他県の学校の先輩からも、
「オイ、ど~したんだよ?もしかして緊張しまくりで終わっちゃった?(苦笑)」
と声を掛けられたらしい。
きっと傍から見ててもコチコチになってたのがバレバレだったんだろう。
な~んだ、サルも並みの人間だったっちゅうことか(苦笑)
だが、今回の遠征の話を聴けば聴くほど、
一番辛かったのはどうも試合そのものでは無く、
むしろ試合以外の時間だったようなのだ。
今回の代表メンバーはサルを含む高校生5名と、
社会人1名を含む成人の部5名の、併せて10名。
そして、高校生の監督は他校の顧問の先生。
成人の部の監督は、自衛隊空挺団所属のマッチョなIさん。
Iさんは総監督も兼任しており、自身もケイリン種目で国体3位の経験者だ。
狭い世界なのでほとんどのメンバーとは既に顔見知りだったとは言え、
全員サルよりは年上。
見た目こそ誰よりも大きいけど、サルはまだ15才、チームの最年少だったわけだ。
そんなデッカイおチビさんは、大勢の年長さんに混じっての共同生活に
気疲れしちゃったみたい(笑)
たとえば、話し方。
とにかくいつもどんな時も、丁寧な敬語なのは当たり前だよね。
時間と共に軽く冗談を言える仲になってきても、そこは部活のノリ。
あくまで、です、ます、での受け答えが基本。
ロードの終了後、お父さんと立ち話してる時も、思わず返事が、
「はい、、、」
と、いつになく丁寧で、わざわざそれを、
「じゃなくて、うん」
と言い直したりしていた(笑)。
そのやり取りを横で見ていた監督さんが選手村に帰る途中、
「オマエ、よくよく考えたら大変だよな。全員年上だもんな。
せめて同じ学校の二年生が居たり、顧問の先生が帯同してくれてたら、
もうちょっと緊張がほぐれてたかもな」
と、何気に呟いたそうだ。
また、一年生と言う事で、レース前の準備も全部自分がやることになっていたらしい。
ドリンクの用意やタイヤの空気入れ、自転を出したり、先輩の荷物を運んだり…
最終日も、サルは朝3時半に起きてせっせと支度したというから驚きだ。
…へぇ~ちゃんと起きられたんだ?
…アンタが準備して、忘れ物とかなかったの?
「あったり前じゃん!何言っちゃってんの??オレだってやる時にはやるんだよッ!」
ダハ。こりゃまた、失礼いたしやした~(笑)
それに一年生は、先輩に頼まれると「イヤ」とは言えない。
たとえばこの二つの事件みたいに…
■『レーパン貸して~事件』■
注)これはフィクションではありません(でもちょっと脚色・古都ちゃん)
注)これはフィクションではありません(でもちょっと脚色・古都ちゃん)
ロードで一緒に走る3年生の先輩が、ナント本番用のレーパンを持ってくるのを忘れてた。
レース当日の朝、先輩が、
「わりぃ、レーパン余分持ってたら貸してくんない?」
と言って来たんだ。
「ぅえ?ぅほ?レーパンっすか?い、いや、はぁーありますけど…」
と言ったけど、レースにレーパン忘れるって、どんだけぇ~!!
準備万端のオレ様は一応2枚持って来てるけど、
そのうちの1枚はお尻のパッドの縫い目が薄く擦り切れそうになってる。
オレの中では、そのスケスケを練習用に、そしてもう一枚を本番に穿くつもりだったんだよな。
だから、貸すんだったらスケスケの方だけど…
って言うか、正直レーパンは貸し借りしたくないっすよ、先輩!
だって、自転車のレーパンはノーパンで直に穿くンスよぉ~
いくら洗って返してくれると言われても、、、
な~~~~んて、言える訳ねぇーっつーの。
だって相手は三年生。
一年生は「イヤ」とは言えないんだよぉーーーー(泣)
どう考えても、スケスケパンツを自分から先輩に渡すわけにはいかない。
かと言って本番用にと持ってきた、ほとんど新品のレーパンを渡すのも腑に落ちない。
仕方ない、一か八かだ!先輩に選んでもらおう。
もしかしたら先輩が遠慮して、自らスケスケパンツを選んでくれるかも…
そーさ!この先輩は、そういう気遣いができる人のはずだ。
「先輩、好きなほうを選んでください!」
先輩、かなり長いこと二枚を比べてた。
あんなに見てたら、たぶんスケスケにも気付いたはずだ。
忘れてきたのは自分なんだし、きっと気を遣って…
「じゃ、こっち貸してもらうね、サンキュー♪」
って、オイ!そっちじゃないだろ?
な~~~~~んて、言えるわけねぇーっつうの。
オレの手元に残ったのは、スケスケパンツの方だった(泣)。
一年生の立場はひたすら弱いのだぁ~~~~~
オレは初の全国大会の晴れの舞台に、オケツ・スケスケ・レーシングパンツを穿いて
出場することになってしまったのだった。
ククク…(哀!)
そして一年生の悲劇はまだ続く。
運の悪いことに、その先輩はレース中、二度も落車に巻き込まれ、ついに転倒リタイア。
オレのイケテル・レーパンはビリビリに破けてしまったのだった。
先輩の怪我は、幸い大したことなかったから良かったけど、
レース後、
「ゴメ~ン!レーパン破いちゃった~ちゃんと弁償するからさ、許して!」
と、さすがに申し訳無さそうに言って来た。
オレも、この時ばかりは、
「ギョヘッ!マジかい!!」
と言いそうになったけど、それもグッと我慢し、、
「怪我無くて良かったッス」
とだけ言った。
オレって後輩の鑑だよな。
それに、弁償するって先輩は言ってたけど、
他校の三年生と会う機会はこの先あまり無いから、
きっとこのままウヤムヤになっちゃうんだろうな。
まったくもう、今年の夏はツイテナイことだらけだ。
■『カギ、一緒に探して~事件』■
注)これもフィクションではありません(でもまたまた、ちょっと脚色・古都ちゃん)
注)これもフィクションではありません(でもまたまた、ちょっと脚色・古都ちゃん)
ロードレースも無事に終わって、いよいよ今日からトラックだ。
6時に車で出発するから、
それまでに朝飯を食って準備も完了しなければならない。
それまでに朝飯を食って準備も完了しなければならない。
オレは5時に起きて準備もバッチリ。
後は、車に荷物を積むだけだ。
こんな余裕たっぷりのオレ様の姿を、お母さんが見たら絶対驚くね♪
なんて、ムフフ~ンとニヤついていたら、
こんな余裕たっぷりのオレ様の姿を、お母さんが見たら絶対驚くね♪
なんて、ムフフ~ンとニヤついていたら、
昨日のレースで、オレのレーパンを破いちゃった先輩が近づいて来て、
「わりぃ、部屋のカギが見つからないんだよ、一緒に探してくんない?」
って、オレに言ったんだ。
「ぅえ?ぅほ?カ、カギっすか?えーっと、どこに置いたんっすか?」
と、平静を装って、オレはカギ探しを手伝うことにした。
っつーか、一年生は「イヤ」とは言えないんだよ。。。
手伝うしかないじゃん?
でもその時既に6時前。
集合時間が迫っていたから、内心超焦っていた。
でも、先輩はノンキに、
「どこに入れたっけぇ~~」
とか言って、ゴソゴソと荷物を探っている。この先輩、オレよりマイペースだ(驚!)
しばらくして、無事にカギが見つかった。
と思ったら、先輩はオレに、そのカギをヒョイと投げてきて、
「じゃ最後、ちゃんと閉めて来てね」
と言ったかと思うと、さっさと先に集合場所に行ってしまったんだ。
「ギョヘッ!マジかい!!それはねぇーだろーがッ!」
と、ここまで出掛かってた言葉をゴクンと 飲み込み、
言われたとおり、カギを閉めてオレも集合場所に急いだ。
集合場所には、先輩や監督さん、要はオレ以外の人全員(もちろん例の先輩も)、
車に乗ってエンジンをかけ、『オレ待ち』していた。
「遅せーな!何やってんだ!遅刻だぞ!!!」
と、叱られてしまった。
せ、せんぱぁ~い、何とか言ってくださいよぅ~~
とすがった眼差しを先輩に送って見たけど、マイペースの先輩は、
「おっせぇーぞぉ~~」
と、車の窓からニコニコしながらオレを見ているだけだった。
そりゃないよ~と思ったけど、やっぱり口には出さず、
「遅れてスイマセン!」
と素直に謝って、急いで車に乗り込んだのだった。
ツライぜ、一年生!
でも、でも、耐えるぜ、オレ!
来年は、二年生だ!!
〈了〉
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♠ 兄貴エライ!
母が心配するより
兄貴はずっとずっと成長してるよー!
正にやる時はやる!
ちゃんとできちゃう(わかってる)んじゃん!凄いよそれ!
Alice感激~!!
(読んでる時は『何それ、ヒドイ、どんなやっちゃねん、めっちゃ可哀想、それムカツクし~』
ってぶつぶつ突っ込みながらだったんだけど)
サル兄に拍手したよ!感動したよ!まったくエライ!!って・・
古都ちゃんいいなぁ、立派な息子さんだ!
その話本人から聞いたの?
兄貴はずっとずっと成長してるよー!
正にやる時はやる!
ちゃんとできちゃう(わかってる)んじゃん!凄いよそれ!
Alice感激~!!
(読んでる時は『何それ、ヒドイ、どんなやっちゃねん、めっちゃ可哀想、それムカツクし~』
ってぶつぶつ突っ込みながらだったんだけど)
サル兄に拍手したよ!感動したよ!まったくエライ!!って・・
古都ちゃんいいなぁ、立派な息子さんだ!
その話本人から聞いたの?
♥ Re:兄貴エライ!
親の前では完全に甘えてるんだなあって改めて実感したよ。
その証拠に、帰って来た日の態度ったらメチャ横柄だったんだよ(苦笑)。
張り詰めていた我慢の糸が、迎えのウチの車に乗ったとたん、
『プチッ!』
って切れたんだと思う。
それを受けてとめてやるのが親であり家庭なんだろうけど…
なかなかねぇ~難しい。。。
私もまだまだ親業を学ばねばならんなあって思ったよ。
ところで、この話はもちろん本人から聞いて私が再現してみたんです。
私はずーっと横に居て事件を見てたわけではないので、
先輩のセリフもサルから聞いたままです。
ちなみに、この先輩はこんな調子なんだけど全く嫌味のない子なの。
今回のメンバーの中で一番サルが気を許していた間柄だったの。
サルも、この話してる時もスッゴク楽しそうだったんだよ。
ホントにスゴク感じいい子でね。
だから、この話を聞いたときは可笑しくて…
サルより上手のマイペース男だったんだ~ってね(笑)
その証拠に、帰って来た日の態度ったらメチャ横柄だったんだよ(苦笑)。
張り詰めていた我慢の糸が、迎えのウチの車に乗ったとたん、
『プチッ!』
って切れたんだと思う。
それを受けてとめてやるのが親であり家庭なんだろうけど…
なかなかねぇ~難しい。。。
私もまだまだ親業を学ばねばならんなあって思ったよ。
ところで、この話はもちろん本人から聞いて私が再現してみたんです。
私はずーっと横に居て事件を見てたわけではないので、
先輩のセリフもサルから聞いたままです。
ちなみに、この先輩はこんな調子なんだけど全く嫌味のない子なの。
今回のメンバーの中で一番サルが気を許していた間柄だったの。
サルも、この話してる時もスッゴク楽しそうだったんだよ。
ホントにスゴク感じいい子でね。
だから、この話を聞いたときは可笑しくて…
サルより上手のマイペース男だったんだ~ってね(笑)